リバネス研究費

2026年6月公募第73回リバネス研究費

第73回 グンゼ賞

設置企業インタビュー記事
研究開発部 医療材料研究室
(写真前列左から)   太田 鈴菜 氏 河原 咲来 氏 水田 幸希 氏
(写真後列左から)室長 澤井 恒祐 氏 奥村 早紀 氏 池田 拓也 氏



多様な研究者と共に、医療機器分野の新展開を模索する

繊維メーカーとして培ってきた技術を起点に、医療機器分野へと展開してきたグンゼ株式会社。今回、初めて設置するリバネス研究費グンゼ賞では、既存の医療機器開発の延長線だけでは出会えない、新たな発想への期待がある。

繊維と加工技術から始まった、医療分野への挑戦

 グンゼが医療機器分野へと展開し始めたのは1980年代。京都大学医用高分子研究センターとの共同研究をきっかけに、生体吸収性縫合糸の開発を開始した。当時、日本の手術糸は絹やポリエステルが主流であり、体内で縫合すると吸収されずそのまま残っているのが当たり前だった。それまでの同社には医療分野の知見がなかったこともあり様々な苦悩があったが、2年の歳月を注いだ研究開発の結果、1986年、国産初となる体内で分解吸収される吸収性縫合糸の事業化に成功した。以来、繊維加工技術を生かした生体吸収性材料を起点に医療機器を展開してきた。澤井氏は、「グンゼの強みは、繊維そのものだけではなく、それを加工し、機能を持たせる技術にあります」と語る。

 さらに挑戦は止まらず、現在では生体吸収性材料を再生医療分野へ応用するための研究・開発にも注力している。そして、生体内での強度、柔軟性、吸収速度、細胞親和性などを制御した医療機器を実現するため、生体吸収性材料を不織布、スポンジ、フィルムなどに加工し、縫合補強材、人工真皮、癒着防止材などへ応用している。これらの材料には、単に体内で吸収されるだけでなく、細胞浸潤や組織修復を促す「足場(scaffold)」としても機能するものもある。

既存技術の延長線だけでは出会えない発想を求めて

 医療機器の中でも特殊な領域である生体吸収性材料の研究開発には、さまざまな制約が存在する。人の命に直接関わる材料である以上、安全性や規制のハードルは極めて高い。工業用途では一般的に使われている材料であっても、医療用途では使用できないケースも多く、研究開発の方向性はどうしても限られやすいという側面がある。一方で、そうした制約が大きい領域だからこそ、既存技術だけでは辿り着けない新しい発想が必要になるという。

 実際に、グンゼのメディカル領域の研究開発部門には、いわゆる「医療専門」の研究者だけではなく、素材、繊維、加工技術など、多様なバックグラウンドを持つ研究者が所属している。生体吸収性縫合糸の開発も、大学との共同研究から始まった。研究室の中だけで技術を積み上げるのではなく、「現場で何が求められているのか」という視点を持ちながら、異分野の技術を医療へ応用してきた歴史がある。

異分野からの新しい発想こそ、可能性がある

 今回のリバネス研究費でグンゼが期待しているのも、まさに異分野からの提案だ。例えば、これまで異分野の用途で研究されてきた樹脂、セラミックス、タンパク質、金属などの新規生体吸収性材料や、射出成形、発泡、3Dプリンティングなどの新しい成形加工技術を医療機器に活用できないか、この機会にぜひ一度考えてみてほしい。一見すると医療とは遠い研究であっても、新たな製品開発、技術開発につながる可能性は十分にあるという。もちろん、薬剤や生体センサー、分子ロボットなどの生体内での機能制御を目指す研究、まだ広く知られていない足場材料の生体内での新しい機能を見出すような研究など、医療・バイオ分野からの、グンゼが出会ったことのない新しい発想にも期待している。(文・土屋 菜摘)

現在募集中です。応募締切:2026年7月31日(金)18:00まで

生体吸収性材料×異分野技術で生まれる新価値に関するあらゆる研究

体内で利用可能な生体吸収性材料を起点とした研究を広く募集します。

自由な発想で、分野にとらわれずに、新たな価値を創出するテーマを求めています。

〈 キーワード 〉

新規生体吸収性材料(樹脂、セラミックス、タンパク質、金属など)

新規成形加工方法(射出成型、発泡、3Dプリンターなど)

足場材料の機能化方法

生体吸収性材料×〇〇(例:薬、ロボティクス、AIなど)

設置企業・組織 グンゼ株式会社
設置概要

採択件数:若干名

助成内容:研究費50万円

スケジュール 応募締切:2026年7月31日(金)18:00まで
審査結果:2026年8月下旬頃に連絡予定
募集対象 ・大学・研究機関に所属する40歳以下の研究者
・海外に留学中の方でも申請可能
・研究室に所属して研究を始めていれば、学部生からでも申請可能
担当者より一言
グンゼ株式会社では、縫合糸や人工皮膚、人工硬膜など、主に体内に吸収される生体吸収性材料をキーワードに研究開発を進めています。メディカル分野にとらわれず、幅広い分野における自由な発想を歓迎します。皆さんの情熱とグンゼのアセットを掛け合わせた、新たな価値を創出する研究テーマで、「明日をもっと、ここちよく」を実現する仲間を募集しています。
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